外資コンサルの社員が実際に読んだおすすめ本
私は新卒で外資総合コンサルに入社し、その後、戦略コンサルティングファームに転職しました。総合コンサルの開発やテストといういい意味での泥臭さも経験しましたし、戦略コンサルでの1枚の紙に魂を込めるこだわりも経験しました。
そのような「コンサルタント」と呼ばれるキャリアの中で、多くの素晴らしいコンサルタントの方々とお会いしました。
例えば、このような方々です。
- 新卒から10年以上マッキンゼーで働いているコンサルタント
- お医者様から転職して10年以上ボスコン(BCG)で働くコンサルタント
- ジョブホッパーからベインに転職し5年以上在籍しているコンサルタント
- 新卒から10年以上デロイトのコンサルタント
- 新卒から20年以上アクセンチュアで働いているコンサルタント
シニアなどのクラスを明確にしないようにするため「コンサルタント」という表現にしました。各社素晴らしいコンサルタントが居ると思いますが、このような方々にお会いして、実際に「コンサル志望者」や「ジュニア(コンサルタントの若手)」におすすめの本を教えていただくことがありました。
今回はその内容も踏まえ、志望・現役が読むべき本を15冊に厳選してご紹介します。
1. コンサル志望者(就活・ケース面接対策)におすすめの本
まずは就活・ケース面接で「通過できる力」を身につけたい方向けの本からです。戦略フレームと地頭力を“短期間で再現”することを目的にした書籍を紹介します。
① イシューからはじめよ(安宅和人)
問題解決の前に「そもそも何を解くべきか」を考えさせてくれる本。ビジネスの現場では、手を動かす前に“イシューの設定”ができる人が成果を出します。
本書は、課題の本質を見抜くための思考順序を丁寧に言語化してくれており、会議や資料作成でも「それは本当に解くべき問題か?」と自問する癖が身につきます。
就活のケース面接でも、出題者の意図を捉え、無駄のない解答構造を作れるようになるでしょう。
私も実際、戦略コンサルティングファームに転職するとき、ケース面接を受けました。そのとき「問題の設定」からミスをしており、面接官のパートナーから「本当にそれが問題ですか?」と訊かれた経験があります。
改めて資料を見返してみると、私が設定していたのは些末な問題であり、もっと根幹にある「解くべき問い」がありました。このように、問題設定を誤ると非常に焦るので、この本は読んで血肉にしておいた方がいいです。私も面接後すぐに読み返しました。
② ロジカル・シンキング(照屋華子・岡田恵子)
外資・総合問わず、コンサルの共通言語である”MECE”と”So What?”/”Why So?”を基礎から解説してくれている本。単なる論理思考の教科書ではなく、「相手に伝わる構造の作り方」を具体的に示してくれています。
社内報告・提案・ケース面接などあらゆる場面で再現性が高く、コンサル初心者や転職者が「論理的に話すとは何か」を理解する最短ルートになるような一冊です。
③ 戦略コンサルティング・ファームの面接試験 新版
世界的戦略ファーム(マッキンゼー、BCG、ベインなど)の実際の面接を再現した、最も実戦的なケース対策書です。
論理構築力だけでなく「質問の意図を読み、議論をリードする力」に焦点を当てています。
フェルミ推定・市場分析・競合戦略などの出題形式が体系的に整理され、外資コンサル志望者の“最終仕上げ”に最適。最新版では、デジタルやESG領域を踏まえた新ケースも収録されています。
私は戦略コンサルティングファームに転職するときに、毎日この本をやっていた時期があります。当時は旧版だったので、取っつきにくいと感じた記憶が。。。
当時はChatGPTなんてなかったので、1つ1つ言葉の意味を調べたり、この本の隙間にメモをしまくっていた記憶があります。毎日1つでもいいので解いていくと習慣になり、チカラが身についていくと思います。私は毎朝の出勤前に1時間、カフェでこの本と戦ってから出勤していました。
比較表:就活生・転職者向けおすすめ3冊
| 書籍名 | 主な目的 | レベル | 特徴 |
|---|---|---|---|
| イシューからはじめよ | 問題設定力 | 初級〜中級 | 構造化の出発点 |
| ロジカル・シンキング | 論理構築 | 初級 | 面接回答の基礎 |
| 戦略コンサルティング・ファームの面接試験 新版 | 実戦練習 | 中級 | 日本語ケースの最適教材 |
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2. 戦略コンサル志望・現役向け「思考・戦略・経営」の名著
現場で“使える”思考法や経営理論を学ぶならこの領域。
上位ファームの面接官やマネージャーが実際に読んでいる書籍群をご紹介します。
① 良い戦略、悪い戦略(リチャード・ルメルト)
「戦略とは何か?」を根本から問い直す名著。
ルメルトは、成功する戦略には「診断・指針・行動」の三要素が欠かせないと説きます。
多くの企業が“スローガンを戦略と誤解している”現実を鋭く指摘し、思考の精度を一段上げてくれる一冊です。
コンサルタント志望者にとっては、単なる理論書ではなく、案件で「どの施策が本質的か」を見極める訓練にも最適。
BCG・マッキンゼー系のケース面接対策でも頻出の「戦略的整合性」を理解できる基礎書です。
② 競争の戦略(マイケル・ポーター)
戦略論の原点にして、すべての経営分析の出発点。
「5フォース分析」「バリューチェーン」「差別化とコストリーダーシップ」など、
現代コンサルタントの思考法を形づくった古典的バイブルです。
読むだけで、業界構造を定量的・構造的に分解する力が身につきます。
近年はデジタル時代の産業構造分析にも応用されており、
コンサルタントだけでなく経営企画や投資家にも不可欠な知識体系。
「なぜこの業界は利益が出ないのか?」を説明できるようになります。
③ 戦略プロフェッショナル(三枝匡)
理論ではなく「戦略をどう実行に移すか」を描く実践的経営ドラマ。
著者の三枝匡氏が、自らの企業改革プロジェクトを通じて“戦略が動く現場”を生々しく描写します。
ポーター理論の「現場での実装方法」を学べる希少な書籍であり、
理屈だけでなく“組織を動かすリアル”が理解できる内容です。
若手コンサルがプロジェクトリーダーを任される前に必ず読むべき一冊で、
理論と現場のギャップを埋めたい中堅層にもおすすめです。
3. グローバルファーム志望者向け「英語・海外発の名著」
外資系志望者は、英語での論理展開も求められます。ここでは“読む英語”から“使う英語”へ移行できる本を紹介します。
どれも日本語訳があるものなので、英語・日本語両方を読み比べてみるのがおすすめです。
The McKinsey Way(Ethan M. Rasiel)
世界最高峰ファーム・マッキンゼーの内部文化と問題解決法を、元社員が実例を交えて解説した名著。少し古い本ですが、論理思考・チーム運営・クライアント対応まで、プロフェッショナルとしての仕事の基本姿勢が詰まっています。
単なるノウハウ本ではなく、「優秀な人がどのように考え、決断し、動くか」を実践的に学べる内容で、英語版・邦訳版のどちらも入手しやすく、海外ファーム志望者の英語面接対策にも最適。
読後には、“マッキンゼーの思考”を自分の習慣に落とし込めるようになります。
The Pyramid Principle(Barbara Minto)
元マッキンゼーの教育責任者だった著者が体系化した、世界標準のロジカル・ライティング手法。
「結論→理由→根拠」で構成するピラミッド構造を使えば、どんな複雑な情報も明快に整理できます。
外資系コンサルだけでなく、英語で報告書・提案書を書くあらゆる職種に有効。
日本語訳もロングセラーで、資料作成・プレゼン・英語表現を“構造で伝える”技術を身につけたい人に最もおすすめの一冊です。
HBR’s 10 Must Reads: Strategy
ハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)の戦略論文を精選した世界的定番シリーズ。
マイケル・ポーター、ピーター・ドラッカー、ゲイリー・ハメルなど、経営学の巨匠たちによる論文を一冊で俯瞰できます。
グローバルファームの研修でも教材として使われるほど信頼性が高く、
「競争優位」「企業目的」「イノベーション」などの理論を実務に転用可能。
原書・日本語版ともに楽天で取り扱いがあり、MBA受験者や海外案件担当者の基礎固めに最適です。
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4. コンサルのキャリア・マインドを支える本
長期的に成果を出すには、思考法だけでなく「燃え尽きない仕組み」も必要です。
ここでは心の整え方やキャリアの再設計に役立つ本を紹介します。
WHYから始めよ!(サイモン・シネック)
“人は何をではなく、なぜに動かされる”。このシンプルな概念を、
実例と心理学を交えて解き明かすリーダーシップ論の金字塔。
マッキンゼーやBCGでも研修教材に採用されており、
チームを動かすコンサルタントに欠かせない「目的思考」を学べます。
読後には、提案や施策に「Whyから語る」癖が自然と身につき、
相手の共感を引き出すプレゼン構成ができるようになります。
管理職・マネージャー層にも広くおすすめです。
HARD THINGS(ベン・ホロウィッツ)
「正解がない状況でどう決断するか」。
著者のベン・ホロウィッツが、シリコンバレーでの起業・経営の修羅場を通して学んだ
“リーダーが背負う苦しみ”をリアルに描いた一冊です。
成功談ではなく、失敗と葛藤を赤裸々に語ることで、
困難な局面でリーダーがどうチームを導くかを教えてくれます。
コンサルのプロジェクトマネージャーにも通じる「人を率いる覚悟」を学べる。
リーダーシップを本質的に理解したい人に最適です。
エッセンシャル思考(グレッグ・マキューン)
「やることを減らす勇気」をテーマに、
成果を最大化するための“選択と集中”を説く生産性の名著。
コンサルタントのようにタスク過多な職種こそ、この思考法が効きます。
本書では、重要でないことを断る技術、優先順位の付け方、時間の使い方を体系化。
多忙でも成果を出すための「思考のミニマリズム」を学べます。
燃え尽きを防ぎ、長期的に高いパフォーマンスを維持したいビジネスパーソンにおすすめ。
5. どの順番で読むべき?目的別おすすめロードマップ
15冊を一気に読む必要はありません。
自分の課題に応じて、以下の順で読めば効率よく成長できます。
| 目的 | 読む順番 | 到達イメージ |
|---|---|---|
| 就活・面接対策 | ①ロジカル思考 → ②イシュー → ③ケース面接本 | 論点設定・フレーム再現 |
| 実務スキル強化 | ①良い戦略、悪い戦略 → ②戦略プロフェッショナル → ③Pyramid Principle | 構造化×行動設計 |
| キャリア形成 | ①WHYから始めよ → ②HARD THINGS → ③エッセンシャル思考 | 燃え尽かず成果を出す |
まとめ|読んで終わりにしないために
コンサルの本は“読書”ではなく“訓練”。
1冊読むごとに、A4用紙1枚で要約し、翌日誰かに説明してみましょう。
それが最速で「思考力」を武器に変える方法です。
次の行動:この記事で気になった本を1冊選び、今日から30分だけでも読み始めましょう。
思考力は才能ではなく、訓練でしか育ちません。
これらの本はコンサルに入社してからも当然役立ちますが、どちらかと言えばコンサルティングファームに入社するまでに読んでおきたい本です。
少し高めの本が多いですが、コンサルに就職/転職したい方には、どれも役立つ本ですので是非読んでみてください。
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